# ナレッジ 2025.06.02

新入社員の退職理由、約40%が人間関係!データで読み解く現代の職場課題

最近、新入社員がすぐに会社を辞めてしまう問題が、多くの企業で深刻な課題となっています。厚生労働省の調査を見ると、大学を卒業した新入社員の約3割が入社3年以内に、その内の半分が1年以内に退職しているという現実があります。この現象は「七五三現象」と呼ばれ、企業の人材確保と組織運営に大きな影響を与えているのです。(参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)特に2020年代に入ってからは、「退職代行サービス」の利用者が急増しており、これまで

最近、新入社員がすぐに会社を辞めてしまう問題が、多くの企業で深刻な課題となっています。厚生労働省の調査を見ると、大学を卒業した新入社員の約3割が入社3年以内に、その内の半分が1年以内に退職しているという現実があります。この現象は「七五三現象」と呼ばれ、企業の人材確保と組織運営に大きな影響を与えているのです。
(参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)

特に2020年代に入ってからは、「退職代行サービス」の利用者が急増しており、これまでの常識では考えられなかった形での退職が増えています。

退職代行とは、弁護士など法律の専門家や代行業者が本人に代わって、会社に退職の意思を伝えるサービスです。

「Indeedキャリアガイド」より

 2025年の最新データでは、この傾向はさらに深刻化しており、退職代行を利用する新入社員の中には、入社からわずか数日で利用するケースも報告されています。これはただの「最近の若い人は我慢が足りない」という問題ではなく、企業側にも根本的な見直しが必要な状況と言えるでしょう。
 本記事では、最新の調査データをもとに新入社員がなぜ辞めてしまうのかを詳しく分析しています。当該分析をもとに、人的資本経営を実践する上での課題と解決策を一緒に考えていきましょう。

※本記事の内容は、公的機関や他社の公開情報をもとに自社で独自に調査・分析した結果となります。

現代特有の新入社員の退職理由とその背景

デジタルネイティブ世代の価値観の変化

 2025年入社の新入社員は、スマートフォンやSNSと共に成長したデジタルネイティブ世代です。彼らは情報収集能力が高く、企業の内部情報や同世代の転職体験談なども容易に入手できるため、より早い段階で転職を検討する傾向があります。
 また、多様な働き方や価値観に触れる機会が多いため、従来の終身雇用制度や年功序列制度に対する疑問を持ちやすく、自分の価値観に合わない環境からは積極的に離脱する選択を取ります。

新型コロナウイルス後の働き方の変化

 パンデミックを経験した世代として、健康や安全性への意識が高く、リモートワークやフレックスタイム制度などの柔軟な働き方を重視する傾向があります。これらの制度が整っていない企業では、相対的に離職リスクが高まります。

入社直後の早期退職に関する実態と分析

 近年、入社からわずか数日以内で退職する新卒社員が増加傾向にあり、企業や社会にとっても課題となっています。各種報道や調査により、その背景には次のような要因が明らかになっています。
いくつかの事例を見てみましょう。

企業説明と実態のギャップ
 
退職代行業者モームリの調査によると、短期間で退職した理由の約半数は、「入社前に聞いていた労働条件や仕事内容と実際の勤務実態との乖離」によるものでした(例:「給与26万円と聞いていたのに実際は20万円」「休日出勤の有無が事前に説明されていなかった」等)。企業側が労働環境を良く見せすぎるケースも指摘されています。
 
同調査では、退職の原因について、企業側または個人側どちらか一方に明確な責任がある事例は2割程度にとどまり、残る6割以上は「企業と個人のミスマッチ」が原因とされています。

仕事内容や環境の過酷さ
 
エン・ジャパンの企業調査では、新人の早期離職理由として「仕事内容のミスマッチ」が最多(57%)と報告されています。実例として「倉庫内作業が想像以上に過酷だった」「通勤ラッシュで体調を崩した」など、環境への適応困難が離職につながったケースが多く見られます。

人間関係・パワハラ
 
入社後のパワハラや上司からの暴言・叱責が直接の辞職理由になった事例も複数確認されています。特に「入社式で社長に大声で怒鳴られた」「廊下ですれ違っただけで叱責された」など、ハラスメント的な対応が短期間退職の引き金になるケースが報じられています。

給与やキャリア不満は少数派
 給与や昇進への不満を退職理由に挙げた割合は5%未満とされており、金銭的な不満は短期退職の主因ではないことが示唆されています。

 入社直後の早期退職は、企業側の情報開示不足や期待との乖離、職場環境・人間関係の問題、そして心身のストレスなど多面的な要因が絡んでいます。特に、「聞いていた話と違う」ことに起因するミスマッチが過半数以上を占めており、採用・受け入れ体制の見直しが求められています。

新入社員の退職理由ランキング

新入社員が辞める理由トップ5
 最新の調査結果をまとめてみると、新入社員が会社を辞める理由には以下のような傾向が見えてきました。

1位:人間関係がうまくいかない

 エン・ジャパンの2024年調査では、本当の退職理由のトップは「人間関係」でした。職場でのいじめやハラスメント、上司や同僚との相性が合わないといったことが主な原因として挙げられています。セクハラやパワハラのような深刻な問題から、価値観の違いまで、人とのつながりが原因で辞めてしまうケースは本当に多いのです。

2位:思っていた仕事と違った

 アデコの調査では「自分がやりたい仕事と実際の業務内容が違いすぎた」という理由が37.9%で最も多くなっています。入社前に想像していた仕事と、実際に任された業務があまりにも違っていたり、やりがいを感じられないような単調な作業ばかりをやらされたりするケースが目立ちます。

3位:給料や働く条件に不満

 「給料や福利厚生に満足できない」という理由が33.0%を占めており、給与の安さ、長すぎる労働時間、休日出勤の多さ、有給休暇が取りにくいといったことが主な要因です。特に、求人に書いてあった条件や面接で聞いた話と、実際の働く環境に大きなギャップがある場合、新入社員のがっかり感は深刻になります。

4位:将来が見えない不安

 「この会社にいても成長できなさそう」という理由が31.5%となっており、将来的に成長できる機会や昇進の可能性が見えないことで辞める決断をするケースが増えています。特に、しっかりとした研修制度や先輩がサポートしてくれる仕組みがない会社では、新入社員が将来への不安を抱きやすくなっています。

5位:会社の将来性への不安

 企業の業績不振や業界の先行き不透明感、経営陣への不信などから、長期的なキャリアを築くことに不安を感じる新入社員が増えています。

健康経営の視点で見る、「新入社員の退職理由」の本当の問題

心理的安全性が不十分

 新入社員が辞める理由で最も多い「人間関係の問題」は、職場に「心理的安全性」が足りないことを明確に示しています。
 心理的安全性とは、簡単に言うと「チームのメンバーが不安や恐怖を感じることなく、自然体の自分でいられる環境」のことです。
この環境が整っていない職場では、新入社員はこんな状況に直面してしまいます。

  • 分からないことがあっても質問しにくい雰囲気

  • 失敗を極度に恐れてしまう文化

  • 上司や先輩からの威圧的な指導

  • 同僚同士の競争が激しすぎる環境

 これらが重なると、新入社員は職場で孤立感を深めてしまい、最終的に「もうここにはいられない」という気持ちになって辞めてしまうのです。
※心理的安全性の重要性については、以下の記事で詳しく解説しています。

https://tokeru.link/newww/n/ne12466596f72

ワークライフバランスの重視

 現代の新入社員は、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、健康的な働き方を求めています。長時間労働や休日出勤が常態化している職場では、以下のような問題が生じます。

  • 身体的・精神的な健康状態の悪化

  • プライベート時間の確保困難

  • 自己成長やスキルアップの時間不足

  • 家族や友人との関係悪化

 これらは、個人の健康だけでなく、組織全体の生産性低下にもつながる重要な問題です。

エンゲージメントの低下

業務内容のミスマッチやキャリア形成への不安は、従業員エンゲージメントの低下を招きます。エンゲージメントが低い状態になると、以下の結果が生じ得ます。

  • 業務への集中力低下

  • 創造性やイノベーションの機会減少

  • チームワークの悪化

  • 顧客満足度の低下

これらにより、組織全体のパフォーマンスが大幅に低下し、競争力の維持が困難になります。

健康経営推進のための具体的対策

 上記で挙げられていた組織問題を解決するためには、どのような施策が効果的なのでしょうか。実際の施策と、測定指標を見てみましょう。

1. 心理的安全性の確保

実施すべき施策
・
メンタルヘルス研修の充実
・1on1ミーティングの定期実施
・匿名で相談できるホットラインの設置
・管理職向けのコーチング研修

測定指標
・職場の心理的安全性に関するアンケート調査
・ストレスチェックの結果分析
・相談窓口への相談件数推移

2. 効果的なオンボーディング制度の構築

実施すべき施策
・入社前から始まる段階的な情報提供
・メンター制度の導入
・定期的なフィードバック機会の創出
・業務内容の詳細な説明と期待値設定
・他部署との交流機会の提供

測定指標
・オンボーディング期間中の満足度調査
・3か月後、6か月後の定着率
・メンターとの関係性評価

3. キャリア開発支援の強化

実施すべき施策
・
個人のキャリアビジョン策定支援
・外部研修・セミナー参加の支援
・キャリア相談窓口の設置

測定指標
・キャリア開発満足度調査
・社内異動希望の実現率
・スキル向上度の評価

4. ワークライフバランスの改善

実施すべき施策
・柔軟な勤務制度の導入(フレックス、リモートワーク)
・有給休暇取得率の向上
・長時間労働の削減
・健康経営の推進(健康診断、ストレスチェック)
・福利厚生制度の充実

測定指標
・
労働時間の適正化指標
・有給休暇取得率
・従業員満足度調査
・健康診断結果の改善状況

※なお、上記の測定にはエンゲージメントサーベイの活用も有効です。ご興味のある方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

https://tokeru.link/newww/n/nc26b5b92643b

まとめ: 持続可能な組織づくりへ。

 新入社員の退職理由分析から明らかになったのは、単純な待遇改善だけでは解決できない構造的な問題の存在です。現代の新入社員は、経済的な報酬以上に、心理的な安全性、成長機会、ワークライフバランス、そして組織への帰属意識を重視しています。

 健康経営の観点から見ると、これらの要求は決して過度なものではなく、むしろ持続可能で生産性の高い組織を構築するために必要不可欠な要素です。企業には、従来の人事管理の枠を超えて、従業員一人ひとりの well-being を重視した総合的なアプローチが求められています。
 効果的なコミュニケーション研修、定期的なエンゲージメントサーベイ、そして継続的な改善活動を通じて、新入社員が安心して成長できる環境を整備することが、結果として組織全体の競争力向上につながるのです。

 今後、少子高齢化による労働力不足がさらに深刻化する中で、優秀な人材の確保と定着は企業存続の鍵となります。新入社員の声に真摯に耳を傾け、彼らが描く理想的な働き方と組織のビジョンを調和させることが、21世紀の企業経営において最も重要な課題の一つと言えるでしょう。

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以下、参考文献
(新聞・雑誌報道および退職代行業者・企業調査データ など)

  • 厚生労働省:「新規学卒者の離職状況」統計(https://www.mhlw.go.jp/)

  • 株式会社モームリ:「早期退職理由に関する調査」、代表者コメント「一番多いのは“聞いていた話と違う”という依頼理由」(出典:PR TIMES、テレビ朝日ニュースなど)

  • エン・ジャパン株式会社:「新入社員の早期離職に関する企業調査」(https://corp.en-japan.com/)

  • プレジデントオンライン:「早期離職に関する具体事例(例:給与や休日出勤の事前説明と違い)」(https://president.jp/)

  • 週刊プレイボーイ(集英社):「若手の早期退職」特集:退職理由の構造分析(企業・個人・ミスマッチ)(https://wpb.shueisha.co.jp/)

  • テレビ朝日系ニュース(ANN):新入社員が即日退職したパワハラ事例などの報道(https://news.tv-asahi.co.jp/)

  • 幻冬舎ゴールドオンライン:通勤ストレスなどが早期退職の引き金となった実例報道(https://gentosha-go.com/)

  • 日刊スポーツ:精神的ストレスによる退職事例(体調不良・うつ状態など)(https://www.nikkansports.com/)

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